大内衆衛

言葉が痩せていく、コミュニケーションにおける言語の位置が移ろい、変化していく。 インターネット的空間では対話のように見えて対話ではないものが蔓延する。だれもが参加できる空間であるがゆえに、あらゆる議論が並列化され、言論はすべて相対化されてしまう。言葉の持つ意味内容は空転する。重要なのは伝達される内容ではなく、繋がっていることそれ自体だからだ。 技術の発展は開放と自由をもたらす。私たちは暗黙のうちにそう信じて込んでいる。そして、恩恵を被っている間は尚更、産業技術に支えられた豊かな現実の危うさを人々は疑いはしないだろう。だが、偶然にも今日的環境の外側に飛び出した時、人は本来の感覚を取り戻すことがある。もちろんそれは不安と背中合わせの体験だ。